過眠症の1つであるナルコレプシーという病気は、日常生活に支障が出るほどつらい症状が出ます。
本記事ではこの病気の症状や原因、治し方などを解説していきます。
ナルコレプシーとは?主な5つの症状を解説
ここではナルコレプシーの5つの症状についてご紹介していきます。
日中に強い眠気を毎日感じる方は、自分が該当するか否かチェックしてみてください。
1. 日中に居眠りを繰り返す
ナルコレプシーを発症した場合、最初に出やすい症状が日中の居眠り(睡眠発作)です。
仕事や家事などの最中でも耐えられないレベルの眠気が発生し、10分から20分ほど居眠りしてしまうのです。
症状がひどくなると、食事中や歩いているときにも眠りに落ちてしまうので、日常生活においてさまざまな支障が出てきます。
周りの人がナルコレプシーとは知らずに接していると、”怠け病”と誤解されることが多いという事実も、この病気の大きな問題点ですね。
2. 感情が高まると体の力が抜けてしまう
大笑いしたり号泣したりと感情が高ぶって興奮すると、体に力が入らなくなり、瞼が下がったままになったり地面に倒れこんでしまうといった状態になります。
この症状を情動脱力発作(カタプレキシー)といい、数秒後に回復した後、元の状態に戻ります。
カタプレキシーは、眠気とは関係なく発生する症状です。
3. 睡眠麻痺と入眠時幻覚が繰り返される
わたしたちが”金縛り”と呼んでいる症状は、眠りが浅いレム睡眠時に入っているときに怖い夢を見て、体が動かせないことからその恐怖が増幅されることで起こります。
ナルコレプシーになると、この睡眠麻痺が頻繁に発生します。
そして入眠時幻覚は、入眠直後に生々しい悪夢を見て夢か現実か判断できなくなることもある症状です。
人などが自分の体の上に乗る、何者かが室内に入ってくるなどといった幻覚を感じ、不安感が強くなります。
4. 中途覚醒が健常者より多くなる
夜中に目が覚める中途覚醒の症状は健常者でも発生しますが、ナルコレプシーと診断された方はその頻度が高くなります。
また寝つきはよい傾向にあるものの、深い睡眠(ノンレム睡眠)の割合が少ないため、毎日のように「寝た気がしない」と感じ、他の症状とあいまって日常生活が送りにくくなるのです。
このように、さまざまな症状が発生するナルコレプシーは、病気になりやすい遺伝的体質にストレスが加わることが原因で発症すると考えられています。
さらに脳から分泌される『オレキシン』というタンパク質の分泌量が非常に少ない人もいるのですが、これもナルコレプシー患者の特徴です。
オレキシンは覚醒状態を維持する作用があるので、その量が不足することでナルコプレシーを発症しやすくなると考えられています。
ちなみに、ナルコレプシーに似た症状で「突発性過眠症」という病気がありますが、こちらは情動脱力発作や入眠時幻覚などは伴いません。
病院でナルコレプシーと診断されたら、脳の覚醒レベルを高めるために「精神刺激薬」を用いて治療するほか、生活習慣の見直し(夜間の睡眠時間を増やす、昼寝をするなど)が行われます。
本記事で自分や自分の家族がナルコレプシーかもしれないと思ったら、なるべく早めに心療内科や神経内科、内科を受診しましょう。
診断方法は確立されていますので、適切な治療が受けられます。
ナルコレプシーを完治させることは難しいですが、症状に対する理解を深めて生活習慣を改めれば、日常生活への支障を最低限抑えながら、病気と付き合っていけると理解してくださいね。