わたしたちの生命活動を維持している自律神経は、自分の意思では調整できない体の機能を正常に保つ役割を持っています。
血圧の上昇と下降もその1つで、活動量が多くなる昼間は高く、心身が休息に入る夜間は低くなるようにコントロールされているんです。
しかし自律神経が乱れると夜になっても血圧が高い状態(夜間高血圧)を招き、症状を放置しておくと命に関わる病気を引き起こすことも。
夜間高血圧の予防や早期発見につなげるためにも、本記事を読んで必要な知識を身につけておきましょう。
寝る前や夜中に血圧が上がる理由は?
自律神経には心身を活動的にする交感神経と、休息に導く副交感神経の2つあり、それぞれが対になって働いています。
交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキと考えるとわかりやすいですね。
日中は交感神経が活性化する一方で、夜は1日の疲れをとるために副交感神経が優位になりますので血圧は下がって脈はゆっくりになり、体が睡眠の準備に入るのです。
しかし自律神経が乱れていると夜になっても交感神経優位の状態が続き、血圧が上がるといった症状が出ます。
これが夜間高血圧で、その数値の目安は上の血圧が120mmHg、下の血圧が70mmHgと定められているんです。
夜間高血圧は夜中も症状が続くことがあり、睡眠中も血圧が上がることから心身が休まらず、さまざまな病気を招きます。
とくに注意したいのは心疾患や脳疾患で、夜の血圧が10mmHg上がると発症リスクが20%も上昇するのです。
こんな症状がある方は要注意!
一般的に高血圧の症状は、塩分の過剰摂取や飲酒、運動不足、肥満などに起因します。
問題なのは、医療機関を受診しても昼間と夜間の血圧の差が発見されにくいことです。
また自覚症状がほとんどないことも、潜在的な患者を増やす要因になっています。
しかし夜間高血圧になると体にさまざまな異変が発生しますので、下記に挙げるチェックポイントを読んで、自分に当てはまるか否か確認してみましょう。
1. 夜中にトイレで目が覚める
夜間に血圧が上がると心臓の負荷が増加するのですが、この状態を解消するために心臓は尿を排出することで血液量を減らします。
その結果、夜間頻尿の状態になり、夜中にトイレに行きたくなって目が覚めてしまうのです。
夜間頻尿は年を重ねるとともに出やすくなるため多くの方は年齢によるものだから仕方ないと軽視しがちですが、夜間高血圧が潜んでいる恐れがありますので頻尿が続く方は泌尿器科を受診してください。
2. 更年期障害を発症している
更年期にさしかかると血圧の変動が不安定になり、急に血圧が下がったかと思ったら夜中に数値が上がることがあります。
通常このような症状は更年期が過ぎると収まるのですが、慢性的に血圧が高くなることもあるのです。
大きな病気にかかるリスクを下げるためにも、更年期に入ったら血圧をチェックする頻度を高めましょう。
3. ストレス過多の状態が続いている
自律神経の働きを乱す最大の要因は、日常的に受けるストレスです。
わたしたちはストレスを感じると血圧が上がり脈も早くなるのですが、時間の経過とともにこの興奮状態は落ち着いていきます。
しかしストレス過多の状態になっていると血圧が上がったままになり、夜間高血圧を招くのです。
このような症状を招かないようにするためにも、夜間高血圧の原因である運動不足と肥満の解消を兼ねて、運動習慣を身につけてください。
ウォーキングやジョギングでもいいですし、忙しい方は自宅などでラジオ体操をするのもおすすめです。
またストレス耐性の向上や乱れた自律神経の修復は睡眠中に進みますので、深い眠りにつけるように環境を整えることも忘れてはいけません。
とくに重要なのは、寝具の機能や状態です。
通気性が悪いとか反発力が自分に合っていない枕やマットレスを使っていると、寝苦しくなって眠りが浅くなります。
さらに寝具がへたっていたら寝返りが打ちにくくなり、寝ている間もストレスを感じるようになりますから、本記事を読んだら自分が使っている枕とマットレスの状態を確認してみましょう。
以上、夜間高血圧の特徴や症状、そして対策について解説してきました。
ここまで読んで、いかに夜間高血圧が厄介な病気かおわかりいただけたことでしょう。
先ほどもお話しした通り、血圧が正常かどうかはわかりにくいので、まずは家庭用血圧測定器を手に入れて、昼間と夜の血圧を毎日測定してみてください。
それと同時に夜間高血圧を引き起こす生活習慣は改めて、気になる症状があったら医療機関に足を運ぶことも重要ですので、早め早めの対応で健康生活を維持してください!